『マネー・ショート』は実話?あらすじとリーマンショックの関係
映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』は実話がもとで、米国の住宅ローン市場の崩壊をいち早く見抜いた投資家たちを描いた作品です。クリスチャン・ベールが演じたマイケル・バーリは実名で登場します。作品の先に起きたリーマンショックが、為替のチャートでどう見えたかも確かめます。
目次
どんな作品か
2015年12月に米国で、日本では2016年3月4日に公開された映画です。監督はアダム・マッケイ。原作はマイケル・ルイスのノンフィクション『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』で、第88回アカデミー賞では脚色賞を受賞しました。
登場人物の多くには実在のモデルがいます。クリスチャン・ベールが演じるマイケル・バーリは実名のまま登場し、スティーヴ・カレルが演じるマーク・バウムはスティーヴ・アイズマン、ライアン・ゴズリングが演じるジャレッド・ベネットはグレッグ・リップマンがモデルです。
作品が描く金融の仕組み
物語の中心にあるのは、信用力の低い人向けの住宅ローン(サブプライムローン)です。こうしたローンは束ねられて債券(住宅ローン担保証券)になり、さらにそれを組み合わせた商品として世界中の金融機関に売られていました。
登場人物たちが使うのは、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)という契約です。債券が返済されなくなったときに支払いを受けられる、保険に近い仕組みで、これを買うことは「その債券が損をする」ほうに賭けることになります。
作中では、こうした専門用語を、本筋から離れて観客に直接説明する場面が挟まれます。仕組みを知らなくても話を追えるように作られています。
実際の相場ではどう見えたか
住宅ローン市場の崩れは、2008年9月15日の米大手投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻で、世界の金融市場全体の混乱になりました。破綻が伝わったのは日本時間の週末で、為替も株式も、月曜の取引開始とともに前の終値から大きく離れた水準で始まります。
このとき為替では円が急騰しました。不安が高まると資金がリスクの低い資産へ移り、円が買われやすいためです。金利の高い通貨ほど売られやすく、このサイトの1分足では、豪ドル円は金曜の終値88.91円から、週明けは86.63円で始まりました。2円あまり離れた水準です。
専門用語を説明する本人役たち
この作品のいちばんの特徴は、難しい金融の仕組みを、有名人が本人役で観客に直接説明する場面です。女優のマーゴット・ロビーが住宅ローン担保証券を、料理人のアンソニー・ボーデインがCDO(債務担保証券)を、行動経済学者のリチャード・セイラーと歌手のセレーナ・ゴメスがCDSと合成CDOを説明します。
物語の途中で急に場面が切り替わるので驚きますが、これがあるおかげで、金融の知識が無くても登場人物が何に賭けているのかを追えます。作品が描く賭けの結末は、その先のリーマンショックで相場に表れることになります。
受賞と評価
第88回アカデミー賞では脚色賞を受賞し、作品賞・監督賞・助演男優賞(クリスチャン・ベール)・編集賞にもノミネートされました。
クリスチャン・ベールが演じたマイケル・バーリは、自らのファンド「サイオン・キャピタル」で、住宅ローン関連の債券が値下がりする方向に早くから賭けた人物です。興行収入は世界で1億3,000万ドルを超えました。
作品とあわせて見るときのポイント
作品が描くのは、主に住宅ローンと債券の世界です。このサイトで見られるのは為替と株価指数の1分足なので、同じ危機を別の市場から見ることになります。
作中の投資家たちは、崩壊を見抜いてから実際にそれが表に出るまで、長い時間を待つことになります。チャートの上では一瞬のギャップとして現れる出来事にも、その手前に長い積み重ねがあったことが分かります。
出典
「このサイトの1分足では」と書いた値は、このサイトのデータから読んだものです。